レビュー
本書は中国文明の解説本である。しかし、ただの解説本ではない。古代文明・古代社会を現代社会と比較しながら文明や社会がどのように形成されてきたのかを解説したものである。そこには現在、よく主張されている”ナショナリズム”との深い関係性があるとわたしは勝手に思っている。
さて、日本美術史のなかでも絵画史を研究するにあたり、中国は非常に重要になってくる。古代から中世において、日本は中国の文化を積極的に取り入れてきたからだ。おなじみの”遣隋使”や”遣唐使”である。仏教も中国から朝鮮半島を経由し伝播してきた。こうした理由から、中国には親しみがある。そんななか、snsで本書の告知があったので、買わずにいられなかった。最初はそんな好奇心だったが、読んでみて、なぜ、わたしがこの本を手に取ったのかが分かった。それは”多様性”というキーワードに対して非常に関心を持っているからだった。興味を惹かれたのは偶然ではなかったのだ。
わたしが本書から感じたのはSDGsの文脈で古代社会をみるということだ。多様性を考えるにあたり、社会を維持するためには何が必要なのかを知る必要がある。そのなかで根本的な構成要素を形成しているものを古代社会から探るのは有効だ。
善悪は別として、社会の秩序を保つには力が必要なのだ。皆が思い描くような本当に平等な社会など実現しない。そもそもが違いがある。ということは不平等・格差が生じるということを認めなければなるまい。
というより、平等性を構築するのであれば、同一性を意識せねばならない。アイデンティティーの構築である。それが集団である。所属意識が仲間を生み、国家を生む。それが多様性には害悪である。どこかで線引きをしなければならない。それが法律である。
本書のポイントとして、古代社会・文明を研究するということは人間とは何か、多様性とは何か、国家とはなにか、ということを考える良いきっかけとなる。SDGsの文脈でもこのことについて考えることは重要だと思う。
古代文明や古代社会、考古学に興味がある、好きだという方だけでなく、昨今、謳われているSDGsを考えたい方々にも読んでいただきたい。多様性とは何か。多様性が本当に正しいのか、を考える良い視点になる一冊である。
オススメしたい読者層
ぜひ、読んでください!!!
良い読書体験になると思います!!!


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