モノゴトの単純化は”レッテル”や”差別”につながる-だからこそ私は世の中の複雑性に目を向けたい-

単純化と複雑性、複雑さを愛そう。 心理学・思想

はじめに

※本稿は以前、私がnoteに投稿した記事を加筆修正したものです。そのため、事前に下記の記事を一読していただいた方がより楽しめると思います。👇

多産という「バグ」の終焉。少子化は、日本が「成熟」した証だった。|適応障害のライフログ|冬栞 HuyuShiori
はじめに 2022年、ある画期的な技術が公開されました。それはChat GPTである。 それからというもの我々の生活にもドンドンと生成AIが流れ込んできた。みなさんもちょっとしたことでも気軽にAIに話しかけるようになったのではないだろうか。…

2022年、ある画期的な技術が公開されました。それはChat GPTです。その詳細については下記のサイトを参照のこと。

ChatGPTの歴史|生成AI時代のマーケティング
ChatGPTが大きな話題を呼ぶ中、ChatGPTのマーケティングへの活用を検討している企業も多いのではないでしょうか。この記事では、AI活用の基礎知識としてChatGPTやAIの進化の歴史を振り返りながら、マーケティング分野への活用につい…


それからというもの我々の生活にもドンドンと生成AIが流れ込んできた。みなさんもちょっとしたことでも気軽にAIに話しかけるようになったのでは?

その結果として、検索の代名詞であった「ググる」は死語となりました。

現時点でAIに相談(プロンプト)することを表す一般的なネーミングはないと思われる。

そこで、私は「アイる」と呼称してみることを提案する。


現時点において、AIが導き出している答えはあくまでも数ある集合データから適当なものを選択して放出してるに過ぎない。(これからもその限りとは言えないが)

それら全てに心を感じることはアニミズム的な価値観である。

これは東洋だけなのか。はたまた、西洋でも起こり得るのか。

西洋ではいわゆる「西洋二元論」。すなわち「主体と客体」や「善と悪」というように単純化した対立構造で表される。

この思想に従えば、AIに魂を感じることはほぼないと言えるのではないだろうか。

しかし、本当にそうなのだろうか。

そこで、東洋と西洋でAIに対する感覚に差があるのかを徹底的に考察することとする。


アニミズムとは何か

アニミズムについて辞書を引くとこのような説明がなされていた。

〘 名詞 〙 ( [英語] animism 「霊魂・生命」の意の[ラテン語] anima から ) 自然界のあらゆる事物に、霊魂があると信ずること。イギリスの民族学者タイラーが宗教の起源をこの語で説明した。有霊観。万物有魂論。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕

精選版 日本国語大辞典

つまりは、アニミズムとは人間に限らず、あらゆる無機物、有機物にも心(霊魂)があるとみなす考え方で、宗教の原型とも言える。

これは、日本人にとっても非常に身近な感覚ではないだろうか。なぜなら、山の神や海の神、妖怪などを違和感なく受け入れているからだ。八百万の神とはよく言ったものだと思う。

さて、アニミズムは学問的分類でいえば文化人類学である。

その下位カテゴリに宗教学や民族学、民俗学がある。宗教学はその名の通り、宗教について研究する学問である。そして、民族学は他国の風俗について研究する。

そういうと、民俗学とはどう違うのかと気になるだろう。民俗学は自国の風俗について研究する学問である。この差異はこれらの学問が誕生した背景を見るとはっきりと理解できる。

民俗学や民族学、どちらともヨーロッパで誕生した学問体系であり、民俗学は近代化に伴い、失われた自国のアイデンティティを取り戻すという意味合いが強い。対して民族学は帝国主義時代に征服する国家を知り、効率的に支配するために行われたという意味合いが強い。今となっては、純粋に人間らしさとは何かという興味から成り立っている学問といえよう。

日本において、民俗学の祖とされるのは柳田國男である。つい、最近まで放映されていた「ばけばけ」のモデルとなった小泉八雲も日本の民俗学に貢献した1人である。


神の概念の東西(東洋と西洋)

次は神(God)という言葉が表す差異について述べていく。一言で神と言っても、西洋(キリスト教圏)と東洋(仏教圏、ヒンドゥー教圏)では意味が異なる。(しかし、儒教は東洋であっても絶対的君主、皇帝を崇めるという意味においては西洋的でもある。)

西洋でいう神とは唯一神であり、一神教を指す。もちろん、始まりはアニミズム的価値観(多神教)であった。ギリシャ神話では神が多数存在していたという事実がそれを物語っている。それがローマ帝国がキリスト教を国教化した後は一神教となった。そのため、中世でキリスト教は絶対であり、信者でなければ異端とされていた。

東洋ではあらゆるモノに神が宿るという多神教である。日本では前述した通り八百万の神が信仰の核心である。つまり、アニミズム的な要素が強いのである。日本にはもともと、神道があったが仏教伝来により、神道と仏教が混在した日本独自の「神仏習合」という信仰が生まれた。このように日本は他国の神であっても否定せず受け入れ、良い部分を取り入れるハイブリット信仰が特徴である。


AIと人間の関わり-アメリカと日本-

さて、ここで本題に入り、AIに対する感覚を見ていこう。アメリカではAIに抱く感情として恐怖が先に挙がる。下記の記事をご覧いただきたい。

AIを過剰に恐れるアメリカ人→フランケンシュタイン・コンプレックス?

AIを過剰に恐れるアメリカ人→フランケンシュタイン・コンプレックス?
2026年、アメリカでは51%の労働者がAIによる失業を懸念し、10%が極度の恐怖を感じている。一方、日本ではAIを積極的に導入し、労働力不足を解消する動きが進む。文化的背景や労働制度の違いが、両国のAIへの受け入れ方に影響を与えている。特…

AIによって失業率が上がることへの恐怖感。そこにはいわゆる「フランケンシュタインコンプレックス」と称されるコントロール出来ないものへの恐怖がある。ドイツの作家、ゲーテの著作「魔法使いの弟子」においても魔法を使い、水汲みをさせたらそれに忠実に従い家の中が水浸しになるまで続けたという話が描かれている。これはディズニーの映画「ファンタジア」でも描かれており、鑑賞したことがある人も多いだろう。

ファンタジアを配信で見る | Disney+(ディズニープラス)

ファンタジアを配信で見る | Disney+(ディズニープラス)
旋律と色彩が彩るウォルト・ディズニーの不朽の名作。

これはコントロール出来ないものへの恐怖が描いたものなのだ。これらの感情が強いため、アメリカを含めた西欧ではAIの使用規制も検討されている。


対して、日本は好意的に受け入れている。Open AIが日本でサービスを先んじて発表したのもそのためであろう。これには日本古来のアニミズム信仰によるところが強いと思われる。無機物にも霊魂が宿る付喪神という形、さらに言えば漫画やアニメに代表されるサブカルチャーの普及も影響していると思われる。特に「鉄腕アトム」や「ドラえもん」などロボットに対して人間と同じような対応をしていることがその証拠である。


なぜAIに人間性を感じるのか

近年、AIに恋愛感情を抱き、結婚するという現象が度々起こり話題となっている。

【AIとガチ恋】「遠距離恋愛みたいな」言葉で繋がる関係?触れ合えない寂しさは?新しい恋愛の形を深掘り|アベプラ
.◆続きをノーカットで視聴▷◆過去の放送回はこちら【アダルト商品】なぜクレカ決済を規制?誰のどんな思惑が?構造を紐解く|アベプラ▷ 【えん罪】 大川原化工機に警察が謝罪…なぜ不正輸出の容疑と勾留332日?…


ただの生成AIだということを分かっていながら、それに依存する。これはアニミズムの極致とも言える。何もこれは最近、始まったことではなく二次元のキャラに対して恋愛感情にも似た思いを抱く人は昔から一定数いた。しかし、生成AIにおいては、それがより進化している。同じ文章を投げかけるだけではなく、違和感なく会話ができるので実際の人間と接しているような感覚を抱く。それに加えて理想の恋人像を投影しやすいため生身の人間以上に親密になりやすい。この点においては人間を超えたといっても過言ではない。

さて、では何であくまでプログラムでしかないものにここまでの感情を抱くのであろうか。これに迫っていこう。
もちろん、西洋においても人間ではないものに霊魂が宿っているという感覚はあったであろう。しかし、それは、キリスト教以外の宗教を信仰するということになり、邪教徒と見なされてしまう。

だから、西洋ではコントロールできないもの(自然)に対して異常なほどの恐怖を抱くのだ。
お互い、恐怖しあっているのである。
日本では自然に対する恐怖と共に畏怖や信仰を抱く。それは見立てという現象によく現れている。これは古代でもそうであるが現在もバ美肉と呼ばれるvtuberを楽しむ際にも見て取れる。すなわち、アバターが女性であれば中の人が男性であったとしても女性に見立ててそこに没入するということである。

バ美肉とは (バビニクとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

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バ美肉とは、主に「バーチャル美少女受肉」あるいは「バーチャル美少女セルフ受肉」の略、バーチャル美少女として受肉することを指す。 「バ美肉」自体に元の性別を限定する言葉は含まれていないが由来…


未来に向けてAIとの付き合い方を考える

これまでの考察でAIに対する感情が西洋と東洋で大きく異なると気づいたであろう。
そこで日本が他国と渡り合うための一つの道としてAI活用があるのではないかと考える。他国が使用を怖がるのであれば日本は積極的に国策としてAI使用を推奨していくのだ。

現時点でも生成AIを用い、対話することで商品購入が出来るといったサービスがある。

AIスタッフがモデル、コミュニケーション、商品販売のすべてを一体化。ファッション業界向け次世代AIスタッフサービス

AIスタッフがモデル、コミュニケーション、商品販売のすべてを一体化。ファッション業界向け次世代AIスタッフサービス「AI STAFF by
株式会社OpenFashion(本社:東京都港区、代表:上田 徹、以下OpenFashion社)は、ファッション業界向けに特化した新しいAIスタッフサービス「AI STAFF by Maison AI (β版)」をリリースしました。この革新…

また、コミュニケーションに特化した家電製品としてのサービスを提供する会社もある。

キャラクター召喚装置「Gatebox」

キャラクター召喚装置「Gatebox」
Gateboxは、キャラクターと一緒に暮らすために開発されたキャラクター召喚装置です。


それを今以上に導入するのだ。少子化が進む現在、それが改善される見込みもない。する必要もないのかもしれない。これ以上、増える必要などないから自然選択として少子化になっているのだ。先進国は多かれ少なかれ、少子化は免られない必ず訪れる現象だ。それはもう仕方がない。
さらに言えば、そもそも少子化は悪いことなのだろうか?逆に言えば社会的に成熟した結果ともいえる。「産めや増やせや」という時代がバグだったのでは?ということである。

私たちは少子化問題を改善すべきものだと考え過ぎているのだ。
根本的に少子化を解消するなら国家として強制させてしまえばいいのだから。だが、それは全体主義だ。現代においては絶対に許されない行為である。それは国家による犯罪だ。だから、少子化自体は受け入れる他ないのだ。

少子化を受け入れた上でどうするかということを考えた上で、提言するのだ。
先に言及したように生成AIサービスを全面導入し人間を介在させず、AIのみで対処する。そうすれば人手不足であろうが関係ないのだ。

最後にvtuberについて私見を述べておきたい。ITにおいて、近年稀に見る日本発祥の文化がこのvtuberである。これを活かさない理由はない。今後、高齢化はますます進む。そして、格差も広がっていく。その点で福祉との親和性の高さは見逃し難い。キャラクターさえ作成しておけば、あとはAIで運用させるということが出来るのが最大の強みである。コストの節約にもなる。
もちろん、エンターテイメントという目線であれば人間がアバターを纏い配信するという形が正解であろう。

しかし、私が最も主張したい強力な生成AIの効果は孤独感をなくすということだ。それすなわち、社会福祉という(ビジネスを離れた)救済につながるのである。

これは現代における希望そのものに他ならない。

西洋 VS 東洋で互いの価値観を固定化しすぎてはいないか。

この章で語るのはこれまでの「西洋二元論」と「アニミズム」で対立構造を作り、論じすぎていたのではないかという反省だ。

ここで、こういうことを書くと記事としての一貫性はなくなってしまうかもしれない。しかし、ここでこの価値観だけに縛られるというのは”他文化理解”、”多文化理解”の妨げになると考えたため、あえて、論述することとする。現在、SDGsの文脈で多様性も語られてきている。その議論の中でよく見聞きするのが互いの主張の押し付け合いだ。これをしている間は本当の多様性理解は訪れない。だからこそ、一面的な見方ではなく、あらゆる可能性を排除せず複雑なものを複雑なまま捉えることが重要なのだと思う。本稿で扱った西洋二元論はまさしく、その真逆。単純化である。本来、西洋のキリスト教圏であっても一般民衆の間ではマリア信仰や土着の神の信仰もあっただろう。それを、全てキリスト教徒とするのは横暴だと思われる。

よって、私は様々な価値観があることを受け入れた上で単純化せずに記事を書いていきたいと言うことを宣言したい。


おわりに

以上で、本稿を終わりとする。この考察で分かったことは西洋のAIに対する感情は恐怖。東洋は同一視。(※単純化した考えではある)
ということである。
下記にわかりやすく、図示したものがあるので見ていただきたい。

画像
AIへの価値観を西洋と日本で単純比較した図
※画像はGeminiにより生成したものです。

この違いを理解することで、これからの戦略を考えることが出来るだろう。(この限りではない。)

参考文献


○奥野克己『入門講義アニミズム-動物も川も人間も平等という知恵-』平凡社,2025年11月

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